コロナ後の今考える「これからのエシカルライフ」のカタチ
世田谷区でフェアトレードやエシカルの活動をする皆さんに「あなたのエシカルライフのあれこれ」をお聞きしました。 エシカルに興味をもったきっかけ、お気に入りのエシカル商品、これから取り組んでみたいことなど皆さんの暮らしがもっとエシカルになるアイデアをお届けします。
イベントで講演予定だったお二人から
メッセージをいただきました!
世田谷区で活躍する人々のエシカルライフとは?
アンケート・インタビューはこちら
末吉 里花さん
RIKA SUEYOSHI
一般社団法人エシカル協会 代表理事/
日本ユネスコ国内委員会広報大使
本来だと初夏の若葉薫る柔らかな風と青空のもと、みんなでフェアトレードの重要性を考え、対話をし、体験する日を迎えていたはずでした。しかし、今世界中の人が苦しみ、悲しみ、先行きが見えない不安を抱えており、身動きがとれない状況になっています。
途方に暮れる毎日の中で、ふと思いました。
ひょっとすると今こそ、フェアトレードのことを知る絶好のチャンスなのではないかと。
対面で人と人とがつながれない中、「おもいやり」や「思いを馳せて想像する」という行為を多くの人が自然とやっているのではないでしょうか。見えない相手に思いを馳せること、これがフェアトレードの土台を作っていると思います。
毎日の暮らしの中で使うもの、食べるもの、着るものがどこからやってきて、どんな人たちが作ってくれているのか、想像をしてみること。これが、フェアトレードの第一歩だと思います。
今、コロナ禍でLocalが見直されており、途上国とのフェアトレードよりも、Buy Localの大波が来ていると聞きました。それによって途上国とのフェアトレードが蔑ろにされるのではないか、という心配をしている人たちがいます。
確かにコニュニティベースの小さな循環のほうが持続可能である、というようなこともあるかれもしれません。とはいえ、私たちは実際に日々、途上国の作り手の方たちにお世話になっています。
ではどうしていったらいいのでしょうか?
実はフェアトレードタウンこそ、Buy Localな動きと世界とのつながり両方を大切しながら、市民が小さな循環から大きな循環両方に関わることができる素晴らしい取り組みなのです!
世田谷のフェアトレードタウン認証を目指す皆さんには、運動そのものを「地域のギフト」として育てていっていただくことに期待していますし、より多くの市民が関心を持ち、携わってくださることを祈っています。そしてコロナが収束した際に、皆様と笑顔でお会いできることを心から楽しみにしています。
中原 秀樹さん
HIDEKI NAKAHARA
東京都市大学(旧 武蔵工業大学)名誉教授/
日本エシカル推進協議会 会長/
地球環境戦略研究機関(IGES)シニアフェロー
(持続可能な消費と生産領域)
世田谷のフェアトレードタウン認証を目指す皆さん。世界をパンデミックの恐怖に陥れている新型コロナウィルスCOVID-19に関するイギリスの雑誌Ethical Consumer(エシカル・コンシューマー:倫理的な消費者)から届いた連絡を紹介することで世界フェアトレード・デーに寄せるメッセージに代えます。
4月17日、Ethical Consumerから『イギリスのサプライチェーンの移民労働者への食糧および必須供給の提供を支援しよう』という連絡が届きました。スペイン南部で、収穫された果物や野菜をイギリスのスーパーマーケットに提供している数千人の移民労働者が、社会的距離法により窮屈な入植地に隔離。COVID-19感染拡大防止のためにスペイン政府が3月14日に封鎖をして以来、彼らは働くことができず、収入はなくなり、医薬品や食料を必要としています。移民労働者は入植地を離れることはできません。彼らは食物、薬、おむつやその他のベビー用品、個人用衛生用品、マスク、手袋、消毒ジェルを必要としています。Ethical Consumerはクラウド・ファンディングによる彼らの救援寄付を現在呼びかけているというものです。
日本は全国に非常事態宣言が出ても、お金さえあれば医療品や食糧品の買い出しに行くことができます。このイギリスのスーパーマーケットの裏側の話は、フェアトレードが訴えるサプライチェーンに潜む問題を考慮して、消費の在り方を変えようというものです。
『感染200万人、新興国危機的。医療・補償、行き届かず』『感染対策、強権の口実。カンボジア・フィリピン、人権団体が懸念』という記事や、『農家の人手確保に補助。新型コロナ、技能実習生』『実習生、マスク製造可能に』という日本のメディアの記事の見出しを見て、わたしたち日本人の生活を支えてくれている国内外の人たちの存在を忘れてはならないと考えます。皆さん、コロナ禍は理屈抜きにフェアトレードが果たす役割を教えています。
私が世界のどこかで見たもっともひどい場所と匹敵する状況の集落に暮らす移民労働者たちに会った。—国連極度の貧困に関する特別報告者, ウエルバ(アンダルシア州)、スペイン 2020.1